化学反応は詩だ。

こんなにも物悲しく、情熱的な詩があるだろうか。


ある物質は、もう一つの物質と出会い
ふたりは反応をはじめる。

自らのうちにないものを、相手に発見したふたりは
互いひきつけ合い、結ばれようとする。


ときには外的要因が二人の結合を加速させることもある。

攪拌、加圧、冷却、加熱…。

そうした操作により活動は促進され、
ふたりはもっと結びつこう、もっと結びつこうと激しく互いを求め合う。


やがて、飽和の時が来る。


いくら外からゆすっても急かしても
均衡してしまい、二人はもう動かない。

それ以上は分かち合えない、
相手から影響を受ける余地がない
という場所まで来てしまったのだ。

化学反応は終わってしまった。


一連の活動を経た二人は
もと持っていた特定の性質を失い、
すでに、出会う前とはそれぞれ別の物質になる。

取り戻すことはできない。


これからの時間は
変わった自分として生きていくしかないのだ。





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