■考察となりのトトロ①:逆さの「院」

映画『となりのトトロ』を週5回、続けざまに観る機会があり、
あることに気付く。


トトロとねこバスは、
日本語が読める(しかも漢字も)。





あのバスの標識を見よ。

・塚森
・めい
・七国山病院
・す
と明記の上、
読みやすいようにライトで照らしているではないか。


病院の院の字が上下逆さまになっているのを発見し、
可愛らしい間違いだなふふふと笑いそうになって
ハッと静止する。




……もしかして、………もしかして
間違えているのは
こちらの方なのではないか。




あの世界では、
院の字は正式に
ああ書くのかもしれない。



だいたいこちらの枠組みで
彼らを正そうとするなんて、
おこがましいではないか。

相手の言葉を学ぶべきなのは、我々のほうなのではないか?

そうだ、きっとそうだ。

院の字はあくまで一つの合図で、あちらの世界には
他にもあまた、人間の知らない文言が秘められているに違いない。

わたくし達こそ
彼らの使う文字や言葉を拝覧し、
その言の葉の奏でる音色に耳を澄ませよう。


そしてできれば御方々の言語でつづられた物語の、
その世界に身をゆだねたい。





■考察となりのトトロ②:変異種ねこバス

百科事典によると、バスは17世紀パリにおける発明なのだそうだ。

するとなると、
ねこバスはそれ以前、
どうしていたのだろう?


トトロはくすのきの森の主だから
何千年も前から、それこそ人類の文明よりはるか昔から
ああして暮らしていたと思われる。

では、ねこバスは?

今まで何の疑問もなく受け入れてしまってきたが、

17世紀以前、
ねこバスはいかなる姿で
存在していたのだろう。





バスという概念が
まだこの世にない時代、

あの猫科の動物は
どのような生息形態をとっていたのだろうか。





やはり……変異か?

日本人の乗り物が明治あたりでバスに替わっていくにつれて、
あのねこも便利そうなあの姿に変異したのか?

するとバスに変わる前は、あの猫はどうしていだんだ?

バスの前身段階にあたるのは、なんだ?

牛車は動物の縄張り的に難しいとなると、
…………駕籠(かご)か?




あいつ江戸時代は、
駕籠だったのか??





■考察となりのトトロ③:三つ巴


大中小の3体のトトロ。

あの3者は、一体
いかなる関係なのだろう。



なんとなく親子というより
兄弟のような目で見ていたが、
映画を何回観てもその確証は得られない。


中小のトトロは現状こどもの段階で、
成長すると大トトロになるのだろうか。

それともあの方々は、
今の姿で完成しており
3者は対等な者同士なのだろうか。

思えば、どことなくそんな感じもする。

なぜならば、小トトロには大トトロにはない
「消える」という技術があるからだ。

お互いに自分にはない技を提供し合い、
助け合って活動する。

そんな関係性を表す
遠からずの言葉が日本にはある。



「同僚」。


■考察となりのトトロ④:カンタ君のおばあちゃん(ENGLISH)

さすがにやや飽きたので、
英語字幕を出して観る。

そしてそこにおいて私は、気になるセリフに出合った。

サツキとメイが初めて
カンタ君のおばあちゃんに会うシーン。

お父さんが姉妹にかの人物を紹介する際に
「この家を管理されてる 隣のおばあちゃんだよ」
と言うのだが、
英語では「おばあちゃん」に以下の訳語が当てられていた。



「Nanny(ナニー・乳母)」


Nannyっ!?




……Nannyといえば乳母だ。

ベビーシッターと類業の、
子どもの躾を業務で請け負うプロだ。

手元にあったランダムハウス英和辞典を引いてみると
「ばあや」
の見出しまである。


……おばあちゃん、
乳母ぢゃないよ。

おばあちゃん、
雇われ人ぢゃないよ。



むしろ農業を営むあの一家こそ
あの辺一帯の大地主で、
草壁ファミリーのほうが
新しく越してきたはずである。

そしておばあちゃんがメイを預かってくれるのは
「近所のよしみ・親切」であって
「労働」ではない。

あのおばあちゃんは、トトロとはまた別の豊かさの象徴なのに……。

どうしてあの英訳は
隣の人、隣の農家さん
ではいけなかったのだろう。

謎である。



■考察となりのトトロ⑤:トトロの仕事(ENGLISH)

再び、英語字幕の話。

初めてトトロに会ったメイが、
お父さんとサツキにそれを訴える場面で
父はその体験を穏やかにこう解釈する。

「メイはきっと、この森の主に会ったんだ」


その「森の主」の対訳。



「キング・オブ・ザ・フォレスト」
(森の王様)







……トトロは、トトロは
王者だったのか……!




……王様といえば、常備軍と官僚制である。

税収の安定も必要だろう。

この座に就くには、
相続争いにも勝ち抜いてこられたに違いない。


……一気に血生臭くなってしまった。

一語でこんなにも印象を違える。

バトル・オブ・ザ・フィールド。




突如、狭山丘陵の田園風景に
先鋭軍隊が見えるようだ。



■考察となりのトトロ⑥:トトロの愛用品

トトロは割と人間が好きなんだろうな、と思う。

なぜならトトロは
「オカリナ」を吹いて、
「コマ」に乗っているし、
中トトロは「袋」をかついでいるからだ。


サツキがバス停で差し出した傘も、
どうも雨具本来の利用方法ではなく
楽器として使用しているきらいはあるが、
あののんきなグレーの森の精は、人工物がお気に召した様子である。


するとなると考えつくのは、
前述のオカリナやコマも
以前誰かからもらったものである可能性だ。
(または拾ったのかもしれない)


主題歌では
♪あなたの 雨傘 さしてあげましょ
♪森へのパスポート 魔法の扉 あきます
と歌っている。


トトロには、サツキとメイに会うより前に
オカリナをあげた少女や
コマを持っていた少年との物語があるということも考えられる。

おぉ……なんだか
拡大したストーリーが想像されるではないか。


さらに注目すべきは
物だけではなく、技術面である。


傘のお礼としてトトロが姉妹に渡した
木の実の包み。


あの結び方は
どこで学んだのであろうか。




あの包みに注目すると、どうも
酔っ払いの中高年男性が千鳥足でフラフラと提げる
お土産のアレに似ているように見えてくる。


箱の四辺に紐をわたし、
持ちやすく提げ手をつけた
ギョーザや鮨の折り詰め。



トトロは、かような献上物を
受けた経緯があるのだろうか。



まさかトトロ……
人から
折り詰めもらったの…………?




ギョーザ?
ウイロウ?



……のどかそうに見えるあの生物にも
意外な酔客との歴史があるのかもしれない。


時計じかけのアップル


アップルウォッチが
りんごの形をしていたら、
わたしはそれが
ひとつ欲しい。


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