〔書き出し小説 101〕 家庭小説家


家庭小説家の池元環は
戸田家に仕えて約3年。

今日は次女ハルカの幼稚園入園について
短編小説を一遍したためるべく、
催しに同行の予定だ。


〔書き出し小説 102〕 忍び出産



となりの分娩室で
忍者が立ち合い出産をしている。


〔書き出し小説 103〕 価格ごとの価値



恋愛小説が読みたいと伝えると
店主は3つの選択肢を提示した。

松・竹・梅。

価格はそれぞれ4500円、2700円、1200円(税抜き)。

自分がいくら持っていたか確かめるため
財布の入ったポケットに手をやった。


〔書き出し小説 104〕 ハーフサイズ選挙権



わたしは今年、あまりいい人ではなかったから
選挙権は半分だけだった。


〔書き出し小説 105〕 居住の権利



実績は書類上の権利より強かった。

池袋は埼玉県民のものになり、
東京ディズニーランドと東京国際空港は
千葉県民の手に渡ることになった。


〔書き出し小説 106〕 3時の種目



オリンピックを初めて観たその部族の人々は
3時の種目が始まった途端、
奇妙な表情を浮かべた。


〔書き出し小説 107〕 はく製



弥生は、25歳の誕生日が来る前に
はく製になることにした。


〔書き出し小説 108〕 統一見解「異性像」



理想の異性像について
月刊女性誌、アダルト業界、少女漫画、オタク、腐女子のあいだで
意見すり合わせがなされることとなった。


〔書き出し小説 109〕 利用資格



どうして電気がつくのか
どうして新幹線が走るのか
どうして携帯電話がつながるのか……。

サービスを利用したければ、そのしくみを説明せよ。


〔書き出し小説 110〕 古墳



田村雄太はたいそう立派な人物であったため、
人々が古墳をつくった。


〔書き出し小説 111〕 自販機


自動販売機で妻を買った。


〔書き出し小説 112〕 ミイラの気持ち



国立博物館に展示中の女ミイラには
内心、不満があった。


〔書き出し小説 113〕 聖なる戦い



太田夫妻の夫婦喧嘩はついに芸術の域に達したのだ。

武道館はそれぞれのサポーターで満員になった。


〔書き出し小説 114〕輸出入規制緩和



環境保持のために
人口の輸出入が始まった。


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